満83歳。
突然の知らせだった。
仕事を途中で切り上げて
乗ったことのない電車に乗って
隣町へ行って通夜に出た。
小さい頃からよくお世話になった。
何度か年賀状を送ってくれて「遊びにおいでね」と書いてあった。
近頃は親戚の法事で会うことが多かったが、
会うといつも「遊びにおいでね」と言ってくれた。
詳しい住所は知らない(親に聞けば分かる)が私の家から地下鉄で三駅先あたり。
親戚の中でも比較的ご近所さんだ。
そして一度も遊びに行くことがないまま、もう会えなくなってしまった。
本人は何の気なしに、口癖のように言っていただけなのかもしれないけれど
今こうして思い出すと会いに行けなかったことがとても悔やまれる。
たまに頭に「遊びにおいでね」という言葉がよぎることがあったが
まあ今度でいいか、とその度に言い聞かせていた。
悔やんでももうこの世で会うことはできない。
手を合わせて「遊びに行けなくてごめんなさい」と唱えた声が震えた。
